特定技能「自動車整備」とは?対象業務・受入れ要件・協議会を整備工場向けに解説

整備工場の人手不足が深刻化するなか、外国人材の受け入れ手段として特定技能「自動車整備」の活用を検討する経営者・採用担当者が増えています。国土交通省の資料によれば、令和5年度の自動車整備要員の有効求人倍率は4.99倍(全職種平均1.17倍)、平均年齢は47.2歳まで上昇し、自動車整備学校の入学者数は令和6年度に7,068人となりピーク時の12,394人から減少するなど、整備事業者の約6割が人材の「不足」または「やや不足」を感じているとされています。

本記事では、特定技能「自動車整備」の制度の全体像、対象業務、受け入れる整備事業者が満たすべき要件、協議会加入、そして登録支援機関に委託する場合のメリットまでを整理して解説します。

特定技能「自動車整備」とは

特定技能「自動車整備」とは、自動車整備分野の人手不足に対応するために設けられた在留資格で、自動車の点検・調整、装置や主要部品の交換、特定整備などの整備作業に外国人材が従事できる制度です。2019年4月の特定技能制度創設時から対象分野に含まれています。

制度創設の背景(整備士不足の実態)

整備士不足の背景には、国土交通省の資料によると令和5年度の自動車整備要員の有効求人倍率が4.99倍まで上昇し、全職種平均の1.17倍を大きく上回っている実態があります。

整備要員の平均年齢は令和5年度に47.2歳まで上昇し、整備事業者の約6割が人材不足を感じているとされ、若手人材の確保が業界共通の課題になっています。

特定技能1号・2号の位置づけ

特定技能1号は在留期間が通算5年を上限とし家族の帯同は原則認められない一方、2号は2023年6月9日の閣議決定により自動車整備分野も対象に加わり、在留期間の更新に上限がなく家族帯同も可能です。

1号で実務経験を積んだ人材は、2号の技能・実務経験などの要件を満たした段階で、2号への移行を検討できます。

整備工場が今、対応を検討すべき理由

自動車整備要員の有効求人倍率が全職種平均の4倍以上となるなか、国内人材の採用に加えて、特定技能外国人の受け入れも人材確保の選択肢になります。

対象となる業務範囲

対象業務は自動車の点検・調整、装置や主要部品の交換、道路運送車両法施行規則に定める特定整備などの整備作業で、地方運輸局長の認証を受けた事業場での就労が前提になります。

特定技能1号で従事できる業務

1号では点検・調整や装置・部品の交換、特定整備などの整備作業を主たる業務とし、それに付随して日本人従業員が通常行う車体の洗浄や部品の運搬などの関連業務にも従事できます。

特定技能2号で従事できる業務

2号では、熟練した技能を要する整備作業に加え、他の作業員への指導を伴う業務を担うことが想定されており、2号評価試験の受験には認証事業場における3年以上の実務経験も必要です。

外国人材が資格を取得する方法

取得ルートは、自動車整備分野特定技能1号評価試験または自動車整備士技能検定試験3級への合格とあわせて日本語試験にも合格するルートと、自動車整備分野の技能実習2号を良好に修了して両試験が免除されるルートの2つです。

技能評価試験・日本語試験に合格するルート

技能水準は自動車整備分野特定技能1号評価試験または自動車整備士技能検定試験3級の合格で証明でき、あわせて国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上への合格が必要です。技能実習の経験がない人材でも、このルートであれば特定技能「自動車整備」を目指せます。

技能実習2号を良好に修了して移行するルート

自動車整備分野の技能実習2号を良好に修了した人材は、技能評価試験・日本語試験のいずれも免除されたうえで特定技能1号へ移行できます。すでに技能実習生を受け入れている整備事業者にとっては、追加の採用活動をせずに継続して人材を確保できるルートです。

受け入れる整備事業者が満たすべき要件

受け入れには、地方運輸局長の認証を受けた事業場であることに加え、協議会への加入・協力、外国人本人との直接雇用や日本人と同等以上の報酬などの雇用基準、1号では適切な支援体制の整備が必要です。

地方運輸局長の認証(認証工場であること)

特定技能「自動車整備」の受け入れは、道路運送車両法に基づき地方運輸局長の認証を受けた事業場であることが前提で、認証を受けていない事業場は受け入れの対象になりません。

支援体制の構築(自社支援 or 登録支援機関への委託)

受け入れ機関は、義務的支援10項目の全部または一部を自社で実施するか、登録支援機関へ委託するかを選ぶ必要があります。

雇用条件の基準(直接雇用・同等報酬)

受け入れ機関は、外国人本人と直接雇用契約を結び、報酬額を日本人従業員と同等以上に設定するなど、特定技能制度に共通する雇用基準を満たす必要があります。国土交通省のガイドブックでは、これらの基準にあわせて協議会への加入・協力も受け入れ機関の要件として整理されています。

自動車整備分野特定技能協議会への加入

自動車整備分野で特定技能外国人を受け入れる事業者と、支援計画の全部の実施を委託される登録支援機関は、自動車整備分野特定技能協議会への加入が必要です。国土交通省によれば、協議会への加入に会費は発生しません。

協議会が担う役割

協議会は自動車整備事業者団体や国土交通省などの関係省庁で構成され、規約・運営規程の整備、特定技能所属機関と登録支援機関の入会管理、地域ごとの人材不足状況の把握などを行っています。

加入のタイミング

協議会への加入は特定技能外国人の受け入れに必須の手続きのため、支援計画の作成や在留資格の申請準備と並行して進めておくと受け入れ全体がスムーズに進みます。加入義務の詳細や必要書類、費用、脱退手続きは自動車整備分野特定技能協議会とはで解説しています。

技能実習との違い(概要)

技能実習は国際貢献としての技能移転が目的で在留期間や転籍に制限がある一方、特定技能は人材確保が目的で、技能要件を満たす同一業務区分内などでの転職が可能という違いがあります。

技能実習2号を良好に修了した人材はそのまま特定技能「自動車整備」へ移行でき、追加の試験を受けずに在留資格を切り替えられます。移行にあたっては、実習中の作業内容が自動車整備分野の職種・作業として認められているかをあらかじめ確認しておくと手続きがスムーズです。

受け入れ決定から入社までの流れ

大まかな流れは無料相談から協議会加入・支援計画作成、在留資格申請、入社後の定期支援まで4段階で進み、必要な期間は申請区分や書類の準備状況、審査状況によって異なります。

①無料相談・協議会加入

受け入れ予定人数や業務内容を整理したうえで無料相談を行い、あわせて自動車整備分野特定技能協議会への加入手続きを進めます。整備現場の勤務形態を踏まえたヒアリングを行い、必要な手続きの全体像を共有します。

②支援計画作成・在留資格申請

義務的支援10項目を盛り込んだ支援計画を作成し、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請の手続きを行います。整備現場の実態に即した支援計画を作成し、申請書類の準備から提出まで伴走します。

③入社後の定期支援

入社後は3か月に1回以上の定期面談や生活オリエンテーションなど、義務的支援を継続して実施します。現場でのコミュニケーションや生活面の不安を早期に把握し、必要に応じて相談対応や行政機関への通報を行います。

登録支援機関に委託するメリット

登録支援機関に委託すると、1号特定技能外国人への義務的支援の全部または一部を任せられ、整備事業者は本来の整備業務に集中しやすくなります。在留資格申請の取次ぎまで依頼できるかは、その登録支援機関が申請等取次者の承認を得ているかで異なります。

自社支援と委託の違い

自社支援では専門知識の習得や書類作成の負担を事業者自身が負う必要がありますが、委託すれば手続きの専門知識を持つ登録支援機関が対応するため、初めての受け入れでも進めやすくなります。

支援委託費用の目安は20,000円〜で、在留資格の認定申請・更新にかかる費用とあわせて費用・料金プランで具体的な金額を確認できます。

自動車整備に特化した登録支援機関を選ぶ利点

整備現場の勤務実態(点検・特定整備・交代勤務など)を踏まえた支援計画を作成できる点は、自動車整備分野に特化した登録支援機関ならではの利点です。サービス詳細では支援計画作成代行・協議会連携の内容を紹介しています。

委託先に求められる要件

自動車整備分野の支援計画を全部委託する場合、委託先の登録支援機関には協議会への加入に加え、一級・二級自動車整備士または自動車整備士養成施設で5年以上の指導経験を持つ者を配置することが求められます。委託先を選ぶ際は、自動車整備分野特定技能協議会の構成員であることと、これらの資格・実務経験を持つ者が配置されていることを確認しましょう。

よくある質問

整備士の国家資格がなくても特定技能「自動車整備」で働けますか?
はい。自動車整備分野特定技能1号評価試験のルートでは、整備士の国家資格は必須ではありません。同評価試験または自動車整備士技能検定試験3級と、所定の日本語試験に合格して技能・日本語能力の要件を満たしたうえで、在留資格に関する審査を受ける必要があります。
技能実習生を受け入れている場合、そのまま特定技能に切り替えられますか?
自動車整備分野の技能実習2号を良好に修了していれば、追加の試験を受けずに特定技能「自動車整備」へ移行できます。
自動車整備分野以外の技能実習を修了していても、特定技能「自動車整備」へ移行できますか?
いいえ。試験免除で移行できるのは、自動車整備分野の技能実習2号を良好に修了した人材に限られます。他分野の技能実習を修了した場合は、特定技能評価試験または技能検定試験3級と日本語試験に合格するルートを検討します。
特定技能2号として働くにはどんな条件がありますか?
自動車整備分野で熟練した技能を要する整備作業に加え、他の作業員への指導を伴う業務を担うことが想定されており、2号評価試験の受験には認証事業場における3年以上の実務経験が必要です。

まとめ

特定技能「自動車整備」は、対象業務・取得ルート・受入れ要件・協議会加入という制度の骨格を確認すれば、整備工場でも計画的に外国人材を受け入れられる制度です。個別の疑問はよくある質問ページもあわせてご確認ください。

自動車整備ジンザイテラスは自動車整備分野に特化した登録支援機関として、運営会社全体で600名以上の外国人材受け入れを支援してきました。制度理解から協議会加入、支援計画の作成まで迷う点があれば無料相談を、運営会社や登録支援機関番号の詳細は会社概要をご確認ください。

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